岡山市北区の内科 腎臓内科 のなか内科腎診療所|透析

岡山市北区の内科 腎臓内科 のなか内科腎診療所

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腹膜透析

慢性腎不全が進行し、期腎不全に至り、腎臓が正常に働かなくなったときに、その機能を代わりに担う治療法を腎代替療法といいます。

腎代替療法には、腎移植・透析療法(血液透析・腹膜透析)があります。

腎臓の役割

腎臓は以下の役割を果たしています。

  • 老廃物の排泄
  • 水分調節
  • 電解質調節
  • 酸・塩基平衡の調節
  • 血圧の調整
  • 造血刺激ホルモン
  • ビタミンD3の活性化
  • インスリンの不活性化

透析療法では、毒素(尿素窒素、カリウム、酸)と余分な水分を体から除去することで、腎臓の役割を補うことができます。

透析の基本原理

透析療法では、以下が基本原理となります。

  • 毒素を抜く:拡散
  • 水分を抜く:血液透析は限外濾過・腹膜透析は浸透

ここからは基本原理について、それぞれ説明してまいります。

血液透析のダイアライザー

ダイアライザーとは、血液透析で使用される医療機器です。

中空糸と呼ばれる小さな穴が開いた細いストローのようなものを1万本束ねたもので、このなかを血液が通過します。

周りには透析液が流れており、物質は中空糸を半透膜として移動し、尿毒素やカリウムなどの不要な毒素は透析液側に抜けていきます(拡散)。

  

腹膜

腹膜とは、腹部臓器を取り囲む膜のことです。

腹膜に包まれた腔を腹腔といいます。

腹膜面積は1~2m²となっており、腹膜に栄養を供給する毛細血管があります。

腹膜と毛細血管の構造

腹膜が物質を通す半透膜の役割を果たし、毛細血管中の尿毒素物質やカリウム・ナトリウムといった電解質が、腹腔に貯留している透析液にゆっくりと時間をかけて移動していきます(拡散)。

透析液中の必要物質(主にブドウ糖、カルシウム)は毛細血管に取り込まれます。

物質の拡散

  

半透膜を境にして濃度の異なる液体を入れておくと、濃度の高い方から、低い方へ物質が移動します。

時間の経過と共に体内の濃度が平衡状態に達していきます。

つまり、半透膜を介して、拡散の原理で以下を行うことができます。

  • 溶質(毒素)除去
  • 不足物質の補充(主にカルシウム)

限外濾過

血液透析では、半透膜であるダイアライザーを介して、限外濾過の原理により、血液から水分を抜いていきます(除水)。

半透膜を境にして透析液側に陰圧をかけると圧の高い方から低い方へ水が移動するという仕組みです。

浸透

腹膜透析では、半透膜である腹膜を介して、浸透の原理で血液から水分を抜いていきます。

半透膜を境にして浸透圧の異なる液体を入れておくと、浸透圧の低い方から高い方へ水が移動するという仕組みになります。

CAPD(腹膜透析)とは

CAPDは半透膜である腹膜を介し腹腔内に落差で透析液を注入し透析を行う方法です。

患者様は医療スタッフから充分な訓練を受けた後、毎日自宅・職場・学校等で透析をしながら活動することができます。

また、透析液の交換は患者様が1人で行うことができ、原則的には在宅で行う療法となっています。

以下の各々の頭文字をとりCAPDと呼んでいます。

  • Continuous(連続的)
  • Ambulatory(携行式)
  • Peritoneal(腹膜)
  • Dialysis(透析)

CAPDの方法

カテーテルを介して落差で注液・排液を行います。

1日4~5回、4~6時間おきに透析液を交換し、基本的には在宅で行います。

1回注液量は成人男性で1,500~2,000ml、女性で1,000~1,500ml(体格による)となっています。

注液に要す時間は10分前後、排液は20~30分位となっており、あわせて30~40分かかります。

また、APD療法(夜間機械を用いて交換する)を用いて透析を行う方法もあります。

※1回のバッグ交換で排液→注液→貯留を行います。

1日のスケジュール

APDとは

APDとは「自動腹膜透析」の略で、就寝中に自動腹膜灌流装置を使用して透析液の交換を行うシステムです。

  • Automated(自動)
  • Peritoneal(腹膜)
  • Dialysis(透析)

処方には様々なバリエーションがあり、透析効率や除水量を考慮し、患者様個々に合わせた方法を選択していきます。

APDの方法

APDの装置はベッドでも布団でも患者様の就寝スタイルに合わせて使用できます。

APDのスケジュール

各治療の比較

腹膜透析(CAPD) 血液透析(HD) 腎移植
必要とするもの 透析液・交換セット 透析装置 腎提供者
時間的制約 1日4回の透析液交換/毎日
(透析中自由に行動できる)
1回4~5時間/週3回
(非透析日は全く自由)
なし(通院は必要)
手術 カテーテル挿入術 シャント作製術 腎移植術
透析場所 自宅、会社など 病院透析室 -
食事制限 制限が比較的ゆるやか 制限が厳しい ほとんどない
感染 特にバッグ交換時に
注意が必要
注意が必要 免疫抑制剤を飲むため
注意が必要
導入時の状態 腹部膨満感 血圧の変動、頭痛など 手術入院1~2ヶ月
貧血 エリスロポエチン製剤
投与により安定
エリスロポエチン製剤
投与により安定
正常化
高血圧 安定しやすい 高血圧~低血圧
さまざま
改善

高齢者こそ腹膜透析が適する

高齢者の腹膜透析には、以下のようなメリットが挙げられます。

  • 食事量が限られており、透析が少量で済む
  • 心臓病や脳血管疾患など合併症を抱えており、血液透析は体への負担が大きい
  • 血液透析よりも、身体機能を維持しやすい

また、高齢者は生命予後が限られており、血液透析に移行せずに、腹膜透析で生涯を終えるという「ラストPD」という考え方もあります。

本人が交換手技や出口部ケアができない場合でも、家族、訪問看護、入所施設看護師などの介護者が行う「Assisted PD」も提唱されています。

お悩みの際はご相談ください

日本で一般的に普及しているのは血液透析ですが、当院では自宅でできる腹膜透析を推進しています。

慢性腎不全があり、その先の透析療法に悩まれた際は一度お越しください。

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